





障害年金の額改定請求とは?受給後に状態が悪化したときの等級見直し
【障害年金の額改定請求とは?】
障害年金を受給している方が、受給当初よりも障害状態が悪化した場合には、「額改定請求」によって等級の見直しを検討できることがあります。
ただし、額改定請求は、請求すれば必ず等級が上がる手続きではありません。
また、一部の障害状態を除き、障害年金を受ける権利が発生した日、または障害の程度の診査を受けた日から1年を経過しなければ、原則として行うことができません。
そのため、「今の等級に疑問がある」「前より状態が悪くなっている気がする」と感じたときは、すぐに請求するかどうかだけでなく、請求できる時期なのか、現在の状態が上位等級に該当する可能性があるのかを慎重に確認することが大切です。
特に更新の時期が近い方は、更新の診断書提出とあわせて、額改定請求を検討できる場合があります。
障害年金は、受給決定が出たら終わりではなくメンテナンスが大切です。
受給後も、病状や生活状況、就労状況が変わることがあります。
今回は、障害年金の額改定請求とは何か、どのようなときに検討するのか、更新との違いや注意点について、できるだけわかりやすく整理していきます。
【額改定請求はどのような手続きですか?】
額改定請求とは、障害年金を受給している方の障害状態が重くなったときに、現在の等級を見直してもらうための手続きです。
たとえば、障害厚生年金3級で受給している方が、その後、日常生活への支障が大きくなり、2級相当の可能性が出てきた場合。
または、障害基礎年金2級で受給している方が、さらに支援の必要性が高まり、1級相当を検討する場合。
このようなときに、現在の障害状態を整理したうえで、額改定請求を検討することがあります。
障害年金は、障害の状態に応じて等級が決まります。
そのため、受給後に状態が悪化した場合には、現在の等級が今の状態に合っているのかを確認することが大切です。
ただし、額改定請求は「今の生活が大変だから」という理由だけで認められるものではありません。
現在の障害状態が、上位等級に該当する程度になっているかどうかが重要です。
そのため、日常生活の状況、就労状況、家族や支援者の援助の程度などを丁寧に整理する必要があります。
【額改定請求はいつからできますか?】
額改定請求には、請求できる時期について注意が必要です。
原則として、一部の障害状態を除き、障害年金を受ける権利が発生した日、または障害の程度の診査を受けた日から1年を経過しなければ、額改定請求を行うことはできません。
ここでいう「診査日」とは、障害状態の確認や更新などにより、日本年金機構側で障害の程度を確認した日をいいます。
たとえば、更新で障害状態確認届を提出し、等級がそのまま継続された場合、その診査日から一定期間は、原則として額改定請求ができないことがあります。
ただし、厚生労働省令で定める障害の状態に該当する場合など、一部例外的に1年を経過しなくても額改定請求ができる場合があります。
この判断は専門的で、ご本人やご家族だけで判断することが難しい場合があります。
そのため、「悪化しているからすぐ額改定請求を出そう」と考える前に、まずは請求できる時期なのかを確認することが大切です。
額改定請求では、状態の重さだけでなく、手続きのタイミングも重要になります。
【額改定請求はどのようなときに検討する?】
額改定請求は、障害年金の受給後に状態が悪化したときに検討します。
たとえば、以前は何とか働けていた方が、病状の悪化によって働けなくなった場合。
以前よりも、家族の見守りや介助が必要になった場合。
一人で外出することが難しくなった場合。
食事、入浴、掃除、買い物、通院などの日常生活に大きな支障が出ている場合。
精神状態が悪化し、対人関係や金銭管理、服薬管理が難しくなった場合。
身体障害が進行し、移動や身の回りの動作に以前より大きな制限が出ている場合。
このような変化があるときは、現在の等級が今の障害状態に合っているのかを確認する必要があります。
ただし、「つらくなった」「前より大変になった」という感覚だけでは、額改定請求が認められるとは限りません。
いつ頃から悪化したのか。
どのような症状が強くなったのか。
以前はできていたことが、今はできなくなっているのか。
家族や支援者の援助は増えているのか。
就労状況はどう変わったのか。
こうした変化を、具体的に整理することが大切です。
【更新と額改定請求は何が違う?】
障害年金には、一定期間ごとに診断書を提出する更新があります。
更新では、更新時の障害状態を確認し、引き続き年金を受けられるか、等級に変更があるかなどが審査されます。
一方、額改定請求は、更新の時期を待たずに、ご本人側から「障害の程度が重くなったので等級を見直してほしい」と申し立てる手続きです。
つまり、更新は日本年金機構から診断書の提出を求められる手続きです。
額改定請求は、受給者側から動く手続きです。
どちらも現在の障害状態を確認する点では共通しています。
しかし、進め方やタイミングが異なります。
更新の時期が近い場合には、更新の診断書提出とあわせて、額改定請求を検討することもあります。
実際に、更新の準備をしている中で、受給当初よりも状態が悪化していることがわかることがあります。
ご本人やご家族は、毎日の生活を何とか続けているため、少しずつ悪化している変化に気づきにくいことがあるため、当職から額改定請求のご案内をする場合もあります。
更新は、単に診断書を提出するだけの手続きではありません。
この数年間の変化を振り返り、現在の状態が等級に合っているかを確認する大切な機会でもあります。
【額改定請求をすれば必ず等級が上がる?】
額改定請求をすれば、必ず等級が上がるわけではありません。
ここは、誤解しないように注意が必要です。
額改定請求で大切なのは、現在の障害状態が上位等級に該当する程度になっているかどうかです。
たとえば、3級で受給している方が2級を目指す場合には、日常生活への支障や支援の必要性が、2級相当と判断される状態であるかが見られます。
2級で受給している方が1級を検討する場合には、さらに重い支援の必要性があるかどうかが確認されます。
そのため、単に「以前よりつらい」「働くのが大変になった」というだけでは不十分なことがあります。
具体的に、どのような生活上の困難が増えたのか。
どのような援助が必要になったのか。
就労が続けられなくなった場合、その理由は障害状態の悪化によるものなのか。
仕事以外の日常生活はどうなっているのか。
こうした点を、整理を通して伝える必要があります。
また、障害の種類によっては、病状の変化が診断書に表れにくいこともあります。
だからこそ、日常生活の具体的な変化を丁寧に整理することが重要です。
【額改定請求で確認したい生活の変化】
額改定請求を検討するときには、生活全体を見直す必要があります。
診断名だけでは判断できません。
障害者手帳の等級だけでも判断できません。
働いているかどうかだけでも判断できません。
大切なのは、病気や障害によって、日常生活や就労にどのような制限が出ているかです。
仕事をしている場合には、勤務時間や仕事内容も確認します。
以前より欠勤や早退が増えていないか。
このような点を整理することで、現在の状態を医師にも伝えやすくなります。
額改定請求では、診断書がとても重要です。
その診断書に現在の生活実態が反映されるよう、事前の整理が必要になります。
【医師に何を伝えればよい?】
額改定請求では、医師に現在の状態を正確に伝えることが大切です。
ただし、医師に特定の等級を書いてもらうようお願いするものではありません。
医師は医学的な立場から診断書を作成されます。
社労士が医学的判断に踏み込むこともできません。
大切なのは、限られた診察時間の中では伝わりにくい日常生活の実態を、医師が把握しやすい形に整理することです。
日常生活をメモにまとめて診察時に伝えるだけでも、状況が整理されやすくなります。
特に、ご本人が自分の状態をうまく説明できない場合には、ご家族や支援者から見た生活状況も大切な情報になります。
「大丈夫です」
「何とかやっています」
「前とあまり変わりません」
このように短く答えてしまうと、実際の困難が伝わらないことがあります。
額改定請求を検討する場合は、現在の困りごとを具体的に言葉にする準備が必要です。
【更新のタイミングで額改定請求を検討することもあります】
弊社にご依頼いただいた方については、受給決定後も、必要に応じてフォローアップを行っています。
その中で、更新のタイミングになって初めて、実は受給当初よりも状態が悪化していたことがわかることがあります。
たとえば、以前は一人で通院できていた方が、今は家族の付き添いが必要になっている。
以前は短時間なら働けていた方が、今は欠勤が増え、仕事の継続が難しくなっている。
以前は身の回りのことが何とかできていた方が、今は声かけや見守りが増えている。
このような変化は、毎日一緒に生活していると、少しずつ当たり前になってしまうことがあります。
しかし、障害年金の手続きでは、この変化がとても重要になる場合があります。
更新の診断書を提出する時期には、この数年間の生活を振り返ることが大切です。
単に「診断書を出して終わり」にするのではなく、現在の状態が前回の認定時よりも重くなっていないかを確認します。
もし上位等級を検討すべき状態であれば、更新手続きとあわせて額改定請求を検討することがあります。
ただし、手続きの進め方は個別の状況によって異なります。
【額改定請求には注意点もあります】
額改定請求は、状態が悪化したときに大切な選択肢になります。
一方で、注意点もあります。
まず、請求できる時期には制限があります。
一部の障害状態を除き、障害年金を受ける権利が発生した日、または障害の程度の診査を受けた日から1年を経過していなければ、原則として額改定請求はできません。
そのため、更新後すぐに「やはり等級を上げてほしい」と思っても、直ちに額改定請求ができるとは限りません。
また、額改定請求は、現在の状態が上位等級に該当するかどうかを審査する手続きです。
そのため、その時点の診断書の内容が重要になります。
過去につらかったことや、以前から困っていたことだけではなく、現在の障害状態を正確に伝える必要があります。
「今の等級に納得できないから、とりあえず額改定請求をする」という進め方はおすすめできません。
まずは、現在の状態、過去からの変化、請求できる時期を丁寧に確認することが必要です。
【額改定請求を検討する前に整理したいこと】
額改定請求を検討する前には、いくつか整理しておきたいことがあります。
現在の障害等級は何級か。
受給が決まった時期はいつか。
前回の診断書提出時期はいつか。
前回の診査日から1年を経過しているか。
悪化した時期はいつ頃か。
こうした情報を整理することで、額改定請求を検討すべきかどうかが見えやすくなります。
また、前回提出した診断書や、年金証書、支給額変更通知書、障害状態確認届の控えなどが残っていれば、確認に役立つことがあります。
障害年金の手続きでは、過去の書類がとても重要になる場面があります。
受給が決まった後も、関係書類は大切に保管しておくことをおすすめします。
【受給後も一人で抱え込まないでください】
障害年金は、受給決定が出たら終わりではありません。
受給後も、生活は続いていきます。
病状が変わることもあります。
働き方が変わることもあります。
家族の支援体制が変わることもあります。
更新を迎えることもあります。
その中で、現在の障害状態と等級が合っているのかを確認することが必要になる場合があります。
額改定請求は、そのための一つの手続きです。
ただし、いつ、どのように請求するべきかは、個別の状況によって異なります。
請求すれば必ず等級が上がるものではありません。
また、原則として診査日から1年を経過しなければ請求できないため、タイミングの確認も必要です。
一方で、状態が悪化しているのに、手続きの存在を知らないまま過ごしている方もいらっしゃいます。
「今の等級でよいのかわからない」
「受給当初より悪くなっている気がする」
「更新のタイミングで等級の見直しも考えたい」
「働けなくなったが、障害年金は変わるのか知りたい」
現在の生活状況を整理し、額改定請求を検討できるかどうか、一緒に確認していきましょう。
【こちらのページも参考に】https://syougainenkin.com/lp/01/
社会保険労務士/CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
石井 要美
2026/09/18
- 障害年金社労士ブログ

