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障害年金社労士ブログ

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障害者手帳がなくても障害年金はもらえる|精神疾患で2級が決定した事例

障害年金のご相談を受けていると、とても多い誤解があります。

それは、「障害者手帳を持っていないと、障害年金はもらえないのではないか」というものです。

特に精神疾患の場合、「障害者手帳を取ることに抵抗がある」「自分が障害者だと認めるようでつらい」「家族や周囲に知られたくない」と感じる方は少なくありません。

そのため、本当は障害年金の対象になる可能性がある状態でも、障害者手帳を持っていないことを理由に、最初から請求をあきらめてしまう方がいらっしゃいます。

しかし、障害者手帳と障害年金は別の制度です。

障害者手帳を持っていなくても、障害年金を請求することはできます。

今回は、障害者手帳を取得していなかった30代の方が、精神疾患により障害等級2級の障害年金に認定された事例をご紹介します。

 

【障害者手帳と障害年金は別の制度です】

まず、最初に知っていただきたいのは、障害者手帳と障害年金は、似た言葉ではありますが、まったく別の制度だということです。

障害者手帳は、福祉サービスや各種支援を受けやすくするための制度です。

たとえば、医療費の助成、税金の控除、公共交通機関の割引、障害者雇用枠での就労など、生活を支えるさまざまな場面で使われます。

一方、障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に制限が出ている方に対して、年金としてお金が支給される制度です。

つまり、障害者手帳は「福祉サービスを受けるための制度」、障害年金は「生活を経済的に支えるための年金制度」と考えると、イメージしやすいかもしれません。

制度が違うため、申請先も審査基準も異なります。

そのため、障害者手帳を持っていないからといって、障害年金を請求できないわけではありません。

反対に、障害者手帳を持っているからといって、必ず障害年金が受け取れるというものでもありません。

大切なのは、障害者手帳の有無ではなく、障害年金の認定基準に照らして、現在の生活や仕事にどの程度の支障が出ているかという点です。

 

【大学卒業後に発症した30代の方のご相談】

今回の当事者の方は30代の方で、ご相談に来られたのは60代の親御様でした。

当事者様は大学を卒業後、就職されました。

しかし、職場での人間関係のトラブルをきっかけに、20代前半で精神疾患を発症し、精神科での治療を開始されました。

しばらく療養を続けましたが、症状は思うようには改善しませんでした。

復職を目指していたものの、職場に戻ることができないまま、最終的には退職に至りました。

その後、何とか社会復帰をしようと再就職をされました。

しかし、体調の波や対人関係の負担が大きく、仕事は長続きしませんでした。

短期間での転職を繰り返すうちに、次第に外へ出ること自体が難しくなり、ほぼ引きこもりの状態となってしまいました。

精神科治療は続けていましたが、症状は一進一退の状態でした。

良い時期があるかと思えば、また大きく崩れてしまう。

親御様も、どう支えたらよいのか悩みながら、長い年月を過ごされてきました。

 

【親御様が抱えていた将来への不安】

当事者様が20代、30代と年齢を重ねる中で、親御様もまた年齢を重ねていきました。

ご相談当時、親御様は60代でした。

それまでは現役で働かれていたため、当事者様の状態を見守りながら、経済的にも支えることができていました。

しかし、定年が近づくにつれて、少しずつ将来への不安が大きくなっていきました。

「自分たちが働けなくなったら、この子の生活はどうなるのか」

「すぐに社会復帰できる状態ではないのに、収入がないままで大丈夫なのか」

「このまま親が支え続けることが、本当にできるのだろうか」

このような不安は、精神疾患のあるお子様を支えている親御様から、本当によくお聞きします。

親御様は、当事者の方を責めたいわけではありません。

むしろ、これまで何とか守ってきたからこそ、これから先の生活を考えたときに、不安が現実味を帯びてくるのです。

特に、親御様自身が定年を迎える時期になると、これまで何とか成り立っていた生活のバランスが変わります。

そのタイミングで、障害年金のご相談に来られるケースは少なくありません。

 

【障害者手帳への強い抵抗感】

今回の当事者の方は、すぐに社会復帰できる状態ではありませんでした。

しかし、ご本人は精神障害を受け入れることができず、障害者手帳を取得することにも強い抵抗感を持っていました。

このような葛藤は、とても自然なものだと思います。

「障害」という言葉には、人によってさまざまな受け止め方があります。

頭では治療が必要だとわかっていても、心が追いつかないことがあります。

障害者手帳を取得することで、「自分は障害者なのだ」と突きつけられるように感じてしまう方もいます。

また、家族の中でも、「手帳を取った方がよいのではないか」と思う親御様と、「絶対に取りたくない」と感じるご本人との間で、気持ちがすれ違うこともあります。

その一方で、医療費や生活費の負担は現実の問題として続いていきます。

治療を継続するためにも、生活を安定させるためにも、経済的な支えは必要です。

そこで親御様は、障害年金について相談されることになりました。

 

【手帳がなくても請求できると知って安心された】

ご相談の際、親御様がとても不安に思われていたのが、「障害者手帳がない状態で、障害年金を請求できるのか」という点でした。

そこで、障害者手帳と障害年金は別の制度であり、障害者手帳がなくても障害年金を請求できることをご説明しました。

その説明を聞かれて、親御様は少し安心されたご様子でした。

ご本人が障害者手帳に強い抵抗感を持っている場合、手帳取得を無理に進めようとすると、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。

もちろん、手帳を取得することで受けられる支援もあります。

しかし、障害年金の請求においては、手帳が必須ではありません。

そのため、まずはご本人の気持ちを尊重しながら、障害年金の可能性を確認するという進め方ができました。

手続きを進めるにあたっては、これまでの受診歴、発症から現在までの経過、就労が続かなかった理由、日常生活の状態、家族の支援状況などを丁寧に整理しました。

その結果、障害等級2級の障害年金が決定しました。

 

【障害年金で大切なのは生活や仕事への支障です】

障害年金の審査では、「障害者手帳を持っているかどうか」ではなく、病気や障害によって、日常生活や仕事にどの程度の支障が出ているかが重要になります。

精神疾患の場合、症状が外から見えにくいため、ご本人もご家族も「どの程度大変なのか」を言葉にすることが難しい場合があります。

しかし、障害年金の請求では、生活の実態を具体的に整理することがとても大切です。

たとえば、朝起きられるか。食事は自分で用意できるか。人と関わることがどの程度できるか。家の外に出られるか。仕事を継続できる状態か。

このような日常生活の一つひとつが、障害の状態を判断するための大切な情報になります。

今回のように、再就職をしても長続きせず、短期間での転職を繰り返し、その後ほぼ引きこもりの状態になっている場合には、就労面でも生活面でも大きな支障があると考えられます。

 

【受け入れることには時間がかかります】

本件のように、「障害」を受け入れられない一方で、経済的な不安も抱えているケースは少なくありません。

ご本人にとって、病気や障害を受け入れることは、簡単なことではありません。

周囲から見れば、「制度を使った方が生活が安定する」と思える場合でも、ご本人の中では大きな葛藤があることがあります。

それを無理に急がせる必要はないと思います。

受け入れること、認めることには、時間がかかる場合があります。

ただ、経済的な不安が大きいままだと、治療や生活を立て直す余裕も失われてしまいます。

障害年金は、ご本人を決めつけるための制度ではありません。

病気や障害によって生活や仕事に制限がある方が、少しでも安心して暮らしていくための制度です。

手帳を持つかどうかは、また別に考えることができます。

まずは、今の生活を支えるために、障害年金という選択肢を知っておくことが大切です。

 

【障害者手帳がなくても大丈夫】

障害者手帳がないから、障害年金は無理。

手帳を取っていないから、相談しても意味がない。

そのように思い込んでいる方は、少なくありません。

しかし、障害者手帳と障害年金は別の制度です。

手帳がなくても、障害年金を請求することはできます。

また、手帳の等級と年金の等級が必ず同じになるわけでもありません。

大切なのは、現在の病状、治療の経過、日常生活の状態、仕事への影響をきちんと確認することです。

特に精神疾患の場合、ご本人が自分の状態を説明することが難しいこともあります。そのような場合には、親御様やご家族がこれまでの経過を整理することが、手続きの大きな助けになります。

障害年金を受け取ることは、決して後ろ向きなことではありません。

経済的な安心があることで、治療を続けやすくなったり、生活のリズムを整えやすくなったり、将来に向けて少しずつ考える余裕が生まれることもあります。

障害を受け入れることに時間がかかっても構いません。

まずは、今の生活を守るために、使える制度があるかを確認してみてください。

【こちらのページもご参考まで】https://syougainenkin.com/lp/01/

社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
石井 要美

2026/06/03

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