





障害年金が不支給になったら終わり?再請求・不服申立ての違いをやさしく解説
【障害年金が不支給になったら終わり?】
障害年金のご相談を受けていると、「一度請求したけれど不支給になってしまいました」という方からのお問い合わせがあります。
不支給決定の通知を受け取ったときのショックは、とても大きいものだと思います。
病気や障害を抱えながら、受診歴を調べ、診断書を依頼し、申立書を書き、年金事務所に提出する。
その手続きだけでも大きな負担です。
それにもかかわらず、「支給されません」という結果が届くと、
「もう自分は対象ではないのだ」
「一度だめだったのだから、もう無理なのだ」
「これ以上、何をしても変わらないのではないか」
と感じてしまう方も少なくありません。
しかし、障害年金が一度不支給になったからといって、必ずしもそこで終わりではありません。
結果の理由によっては、再請求や不服申立てを検討できる場合があります。
今回は、障害年金が認められなかったときに知っておきたい基本的な考え方を、できるだけやさしく整理していきます。
【まず確認したいのは、不支給か却下かです】
「年金が認められなかった」という結果には、大きく分けて2つあります。
一つは、不支給決定です。
これは、初診日や保険料納付要件などは確認されたものの、提出された診断書や申立書などから見て、障害年金を受けられる程度の障害状態には該当しないと判断された場合です。
もう一つは、却下です。
これは、障害状態の重さを判断する以前に、制度上の要件を満たしていないとされた場合です。
たとえば、初診日が確認できない場合や、保険料納付要件を満たしていない場合などです。
この違いはとても大切です。
同じように「認められなかった」と感じる結果でも、理由が違えば、その後に取るべき対応も変わります。
障害状態が理由なのか。
初診日が理由なのか。
保険料納付要件が理由なのか。
まずは、決定通知書の内容を確認し、何が理由で認められなかったのかを整理することが大切です。
【再請求とは、改めて障害年金を請求することです】
再請求とは、簡単に言うと、改めて障害年金を請求することです。
たとえば、前回の請求時には障害等級に該当しないと判断されたけれど、その後、症状が悪化した場合。
このようなときには、改めて現在の状態を整理し、再請求を検討することがあります。
再請求では、ただ同じ書類をもう一度出せばよいわけではありません。
前回、なぜ不支給になったのか。
主治医に対し、日常生活の実態を的確に伝えたうえで診断書が取得できたのか。
病歴・就労状況等申立書には、困りごとが具体的に書かれていたのか。
診断書と申立書の内容に大きなずれはなかったのか。
現在の状態は、前回と比べてどう変わっているのか。
こうした点を丁寧に確認する必要があります。
再請求は、前回の手続きを振り返り、現在の状態を改めて正確に伝えるための手続きでもあります。
【不服申立てとは、決定に納得できないときの手続きです】
不服申立ては、年金の決定に納得できないときに、その決定を見直してもらうための手続きです。
障害年金の場合、決定があったことを知った日の翌日から3か月以内であれば、社会保険審査官に審査請求をすることができます。
さらに、その結果にも不服がある場合には、一定期間内に再審査請求をすることができます。
不服申立ては、前回の決定そのものについて争う手続きです。
そのため、「前回提出した時点で、本来は認められるべきだったのではないか」という視点で考えることになります。
一方、再請求は、改めて現在の状態などをもとに請求する手続きです。
この2つは似ているようで、考え方が違います。
どちらを選ぶべきかは、事案によって異なります。
前回の書類の内容。
決定通知の理由。
現在の状態。
不服申立ての期限。
こうした点を精査しながら判断する必要があります。
【診断書に生活実態が反映されているか】
障害年金の審査では、診断書がとても重要です。
ただし、診断書は単なる病名の証明書ではありません。
その方の日常生活や就労にどのような制限があるのかを伝える大切な書類です。
たとえば、精神疾患の場合。
食事、入浴、掃除、買い物、通院、服薬管理、人との関わり、金銭管理などの状態。
発達障害や知的障害の場合。
職場や学校での支援、コミュニケーション、予定管理、金銭管理、困ったときの対応などがどうなっているのか。
肢体障害の場合。
移動、着替え、食事、排せつ、入浴、家の中での動作、外出などがどの程度できるのか。
医師は、限られた診察時間の中で診断書を作成されます。
そのため、ご本人やご家族が日常生活の状況を的確に伝える必要があります。
不支給となった場合には、まず生活実態がどの程度であるのかを確認することが大切です。
【申立書も大切な書類です】
病歴・就労状況等申立書も、障害年金の請求ではとても大切な書類です。
申立書には、病気や障害の経過、治療の流れ、就労状況、日常生活の困りごとなどを記載します。
この申立書が簡単すぎると、生活の実態が伝わりにくくなります。
反対に、感情だけが強く出すぎてしまい、具体的な状況が伝わらないこともあります。
大切なのは、事実を整理して書くことです。
いつ頃から症状が出たのか。
どの医療機関を受診したのか。
仕事や学校にどのような影響が出たのか。
日常生活で何ができなくなったのか。
家族や支援者の助けがどの程度必要なのか。
現在はどのような生活を送っているのか。
こうしたことを、できるだけ具体的に整理していく必要があります。
障害年金は、審査員がご本人の生活を直接見に来る制度ではありません。
提出された書類をもとに判断されます。
だからこそ、診断書と申立書の両方で、生活実態がきちんと伝わることが大切です。
【すぐにあきらめてしまう方が少なくありません】
不支給決定を受けた方の中には、すぐには相談できず、何年も経ってからお問い合わせをくださる方もいます。
理由を伺うと、
「一度だめだったので、もう無理だと思っていた」
「通知を見たショックが大きくて動けなかった」
「家族にも言い出せなかった」
「どこに相談すればよいかわからなかった」
「また同じ結果になるのが怖かった」
とお話しされることがあります。
障害年金の請求は、ご本人やご家族にとって大きな期待を込めた手続きです。
それが認められなかったとき、心が折れてしまうこともあります。
しかし、一度の結果だけで、すべてをあきらめてしまうのは早い場合があります。
不支給の理由を確認し、書類の内容を見直すことで、次に進める可能性が見えることもあります。
【相談するタイミングは早い方がよいです】
不支給決定を受けた場合、できれば早めに相談することをおすすめします。
理由の一つは、不服申立てには期限があるからです。
審査請求は、決定があったことを知った日の翌日から3か月以内とされています。
この期限を過ぎてしまうと、不服申立てを検討したくても難しくなります。
もちろん、期限を過ぎたからといって、すべての可能性がなくなるわけではありません。
現在の状態で再請求を検討できる場合もあります。
ただ、どの選択肢があるのかを判断するためにも、早めに書類を確認することが大切です。
決定通知書。
前回提出した書類一式。
これらが残っていれば、前回の内容を確認しやすくなります。
不支給決定を受けたときは、書類を捨てずに保管しておくことも大切です。
【不支給になった方へお伝えしたいこと】
障害年金が不支給になると、とてもつらい気持ちになると思います。
一生懸命準備した方ほど、その落胆は大きいものです。
「自分の大変さは認められなかった」と感じてしまう方もいます。
しかし、不支給決定は、必ずしも「もう二度と受給できない」という意味ではありません。
大切なのは、なぜその結果になったのかを確認することです。
障害状態が理由なのか。
初診日や保険料納付要件が理由なのか。
診断書や申立書に生活実態が十分反映されていたのか。
再請求を検討できるのか。
不服申立てを検討すべきなのか。
一つひとつ整理していくことで、次の可能性が見えることがあります。
障害年金の手続きは、一人で抱えるにはとても重いことがあります。
特に、不支給決定を受けた後は、冷静に書類を見ること自体がつらいかもしれません。
そのようなときは、一人で抱え込まずにご相談ください。
前回の結果を一緒に確認し、今後どのような選択肢があるのかを整理していきましょう。
【こちらのページも参考に】https://syougainenkin.com/lp/01/
社会保険労務士/CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
石井 要美
2026/08/21
- 障害年金社労士ブログ

