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障害年金社労士ブログ

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障害年金の再請求で不支給から受給決定へ|脳出血後遺症の事例

【再請求により不支給決定から受給決定へ】

最近、障害年金のご相談の中で、「一度請求したけれど不支給になってしまった」という方からのお問い合わせが増えているように感じます。

障害年金の請求は、ご本人やご家族にとって、とても大きな負担を伴う手続きです。

受診歴を調べ、診断書を依頼し、病歴・就労状況等申立書を作成し、年金事務所へ書類を提出する。

その過程だけでも、時間も気力も使います。

それだけ頑張って準備したにもかかわらず、「年金は認められません」という結果が届いたときのショックは、非常に大きいものだと思います。

「もう自分は対象ではないのだ」

「一度だめだったのだから、もう無理なのだ」

そのように感じてしまう方も少なくありません。

しかし、不支給決定を受けたからといって、必ずしも二度と障害年金を受給できないというわけではありません。

今回は、障害状態非該当による不支給決定を受けた後、再請求によって受給決定に至った事例をご紹介します。

 

【年金が認められなかった結果には大きく2つあります】

まず、「年金が認められなかった」という結果には、大きく分けて2つの考え方があります。

一つは、障害状態が障害等級に該当しないと判断されたことによる不支給決定です。

これは、初診日や保険料納付要件などは確認されたものの、提出された診断書や申立書などから見て、障害年金を受けられる程度の障害状態には該当しないと判断された場合です。

もう一つは、初診日や保険料納付要件など、制度上の要件を満たしていないことによる却下です。

たとえば、初診日が確認できない場合や、保険料納付要件を満たしていない場合などには、障害状態の重さ以前に、制度上の要件を満たしていないとして却下されることがあります。

この違いはとても大切です。

同じように「認められなかった」という結果でも、何が理由だったのかによって、その後に検討すべきことが変わるからです。

今回ご紹介するのは、障害状態が障害等級に該当しないと判断され、不支給決定となったケースです。

 

【脳出血による片麻痺で不支給となったご相談】

ご相談くださったのは、脳出血による後遺障害で片麻痺のある方のご家族でした。

お話を伺うと、麻痺側の上下肢に強い機能障害があり、日常生活にも大きな支障が出ているにもかかわらず、障害年金が不支給になってしまったとのことでした。

ご家族としては、納得しきれないお気持ちがあったと思います。

日常生活の中で、ご本人がどれほど不自由されているかを近くで見ているからこそ、

「なぜこの状態で認められなかったのか」

「書類上、うまく伝わっていなかったことがあるのではないか」

「もう一度請求することはできないのか」

そのような思いでご相談されました。

障害年金では、実際の障害状態が重い場合であっても、その状態が診断書や申立書に十分反映されていなければ、審査上、正しく伝わらない可能性があります。

そのため、まずは前回の請求で日本年金機構へ提出された書類の内容を確認するところから始めました。

 

【生活実態が診断書に十分反映されていない可能性】

提出済みの書類を確認していく中で見えてきたのは、ご本人の日常生活の実態が、診断書に十分反映されていない可能性でした。

ご家族から伺う生活状況と、診断書に記載されている内容との間に、少し差があるように感じられたのです。

もちろん、診断書を書くのは医師です。

社労士が医学的な判断をすることはできません。

また、診断書の内容について、事実と異なることを求めることもできません。

そして、医師は限られた診察時間の中で、治療方針、検査結果、薬の調整、リハビリの状況など、多くのことを確認されています。

そのため、診察の場でご本人の日常生活の細かな困りごとまで十分に共有されていないと、生活実態が診断書に反映されにくいことがあります。

特に肢体の障害では、関節の動きや筋力だけでなく、日常生活の動作がどの程度できるのかが大切になります。

着替え、食事、排せつ、入浴、移動、外出、家の中での動作。

こうした日常生活の実態が、診察時にどの程度医師へ伝わっていたのか。

今回のケースでは、診断書を作成していただくための受診時にご家族の付き添いがなかったため、ご家族もその点を十分には把握されていませんでした。

 

【ご本人は障害状態を的確に伝えられていませんでした】

再請求を検討するにあたっては、まずご本人の障害状態を慎重に確認する必要がありました。

どの動作ができるのか。

どの動作ができないのか。

できるとしても、どのくらい時間がかかるのか。

見守りや介助が必要なのか。

補助具を使っているのか。

転倒の危険はあるのか。

外出は一人でできるのか。

こうしたことを、ご本人とご家族を交えて丁寧にヒアリングしました。

その中でわかったのは、ご本人がご自身の状態を正確に伝えることに難しさを感じていたということです。

ご本人は、リハビリに一生懸命取り組まれていました。

少しでも良くなりたい。

少しでも自分でできることを増やしたい。

家族に迷惑をかけたくない。

そのような思いで、日々努力を重ねていらっしゃいました。

ご家族も、そのお気持ちを大切にされていました。

できる限り、ご本人ができることはご本人にやらせたい。

少しでも回復してほしい。

自信を失わないでほしい。

そのような思いで、見守ってこられたのだと思います。

 

【できることを増やしたい思いと、現状を伝える難しさ】

リハビリに励むことは、とても大切なことです。

ご本人が少しでも良くなろうと努力される姿は、本当に尊いものです。

また、ご家族がそれを信じて見守りたいと思うことも、ごく自然なことだと思います。

しかし一方で、障害年金の請求では、今の障害状態をできるだけ正確に伝える必要があります。

ここに、とても難しい問題があります。

ご本人にとって、「できないこと」を認めるのは、とてもつらいことです。

脳出血の前には当たり前にできていたことが、今はできない。

人の手を借りなければ生活できない。

自分の身体が思うように動かない。

その現実を言葉にすることは、時に大きな苦痛を伴います。

そのため、診断書を作成するための受診の際にも、ご本人はご自身の障害状態を十分に伝えることができていなかったのだと思います。

「できません」と言う代わりに、「何とかできます」と答えてしまう。

実際には家族の見守りや介助があるのに、一人でできているように伝わってしまう。

かなり時間がかかる動作でも、「できる」とだけ伝わってしまう。

これは、ご本人が意図的に事実と違うことを話したということではありません。

むしろ、少しでも良くなりたいという思いや、障害を受け入れるつらさがあるからこそ、現状をそのまま伝えることが難しかったのだと思います。

このようなすれ違いが積み重なると、診断書の内容に日常生活の実態が十分反映されにくくなることがあります。

 

【脳出血では身体だけでなく高次脳機能障害にも注意が必要です】

脳出血による後遺障害では、身体の麻痺ばかりに目が向きがちです。

もちろん、片麻痺によって歩行や手足の動作に大きな制限が出ている場合、肢体の障害として慎重に確認する必要があります。

しかし、脳出血の場合には、身体の状態だけでなく、精神面や認知面の変化にも注意が必要です。

今回のヒアリングでも、高次脳機能障害と思われる症状が出現していることが確認されました。

高次脳機能障害では、記憶、注意、感情のコントロール、段取り、判断、意欲などに影響が出ることがあります。

外見からはわかりにくいこともあり、ご本人やご家族も、最初は障害として認識していない場合があります。

「性格が変わったように感じる」

「忘れっぽくなった」

「すぐに怒りっぽくなった」

「一つのことに集中しにくくなった」

「段取りよく行動することが難しくなった」

このような変化がある場合には、身体の障害とは別に、生活全体への影響を丁寧に確認することが大切です。

必要に応じて、医師にその変化を伝え、医学的な評価につなげていくことも重要になります。

障害年金の請求では、目に見える麻痺だけでなく、見えにくい困りごとも整理していく必要があります。

 

【再請求では、前回の不支給理由を丁寧に確認します】

不支給決定を受けた後に再請求を検討する場合、ただ同じ内容でもう一度提出すればよいわけではありません。

まず大切なのは、前回なぜ不支給になったのかを確認することです。

提出した診断書には、日常生活の実態がどの程度反映されていたのか。

病歴・就労状況等申立書には、生活上の困難さが十分に書かれていたのか。

診断書と申立書の内容に大きなずれはなかったのか。

初診日や障害認定日の整理に問題はなかったのか。

こうした点を一つずつ確認していきます。

今回のケースでは、前回の診断書に、ご本人の日常生活の実態が十分に反映されていなかった可能性が大きなポイントでした。

そこで、肢体障害の認定基準に照らしながら、ご本人とご家族から生活状況を丁寧にお聞きし、どの部分を医師へ共有する必要があるのかを整理しました。

再請求は、単にもう一度出す手続きではありません。

前回の請求で伝わりきらなかった可能性がある点を確認し、今の状態をより正確に伝えるための準備が必要になります。

 

【生活実態がより反映された診断書を取得し、受給決定へ】

再請求を進めるにあたっては、ご本人やご家族のお気持ちを大切にしながら、現在の障害状態を慎重に整理していきました。

ご本人が「できるようになりたい」と思う気持ち。

ご家族が「少しでも回復してほしい」と願う気持ち。

そのどちらも、とても大切です。

一方で、障害年金の請求では、今現在どのような制限があるのかを、正確に伝えなければなりません。

そのため、できることと、できないこと。

一人でできることと、見守りや介助があってできること。

短時間ならできることと、継続することが難しいこと。

こうした違いを丁寧に整理しました。

そのうえで、診断書作成にあたり、主治医に共有すべき生活状況や就労状況を整理しました。

これは、医師に特定の結論を求めるためではありません。

限られた診察時間の中では伝えきれない日常生活の実態を整理し、医学的な判断の材料として確認していただくためです。

その結果、ご本人の日常生活や就労の状況がより反映された診断書を取得することができました。

そして、再請求を行った結果、障害年金の受給決定に至りました。

ご家族からご報告を受けたとき、これまでの不安や悔しさが少し報われたように感じました。

 

【医師とご本人をつなぐために、情報整理が大切です】

障害年金の診断書は、医師に作成していただく大切な書類です。

だからこそ、ご本人の状態が医師にできるだけ正確に伝わっていることが重要になります。

医師は、日々多くの患者様を診察し、治療にあたっています。

その中で、患者様が診察室で伝えた内容や、診察で確認できた所見をもとに、診断書を作成されます。

一方で、患者様やご家族は、診察の場で生活上の困りごとを十分に伝えられないことがあります。

何を伝えればよいかわからない。

短い診察時間の中で話しきれない。

できないことを言葉にするのがつらい。

家では困っていることでも、診察室では見えにくい。

そのようなことは少なくありません。

社労士の役割の一つは、医師の判断に踏み込むことではなく、ご本人やご家族の生活状況を整理し、必要な情報が医療機関に伝わりやすい形に整えることだと考えています。

医師、ご本人、ご家族、支援者が、それぞれの立場で情報を共有できること。

それが、障害年金の手続きにおいても、とても大切だと思います。

 

【不支給決定後、長く相談できなかった方もいます】

不支給決定を受けた方の中には、かなり時間が経ってからご相談に来られる方もいらっしゃいます。

「なぜ、もっと早く相談されなかったのですか」と伺うと、さまざまなお気持ちを話してくださいます。

一度だめだったのだから、もう受給できないと思っていた。

不支給の通知を見たショックが大きすぎて、しばらく動けなかった。

家族にも言い出せなかった。

もう一度手続きする気力が残っていなかった。

どこに相談すればよいかわからなかった。

そのようなお話を伺うたびに、必要な情報がまだ十分に届いていないのだと感じます。

不支給決定を受けた直後は、冷静に書類を見直すことも難しいかもしれません。

「自分は認められなかった」と感じて、心が折れてしまうこともあると思います。

けれど、不支給になった理由によっては、再請求や不服申立てなど、次に検討できる方法がある場合もあります。

 

【不支給になった理由を一緒に整理することが大切です】

障害年金が認められなかったときに大切なのは、まず理由を整理することです。

障害状態が等級に該当しないと判断されたのか。

初診日が認められなかったのか。

保険料納付要件を満たしていなかったのか。

提出した書類の内容に不足やずれがなかったのか。

現在の状態で改めて請求できる可能性があるのか。

こうした点を確認しなければ、次にどう動けばよいか判断することができません。

障害年金は、審査員がご本人の日常生活を直接見に来る制度ではありません。

提出された書類をもとに判断されます。

そのため、実際には大きな困難があっても、それが書類に表れていなければ、審査上は伝わらないことがあります。

だからこそ、不支給決定を受けたときには、「もうだめだ」と決めつける前に、提出した書類と実際の状態を照らし合わせてみることが大切です。

 

【不支給決定を受けた方へ】

障害年金の不支給決定を受けると、とても大きなショックを受けると思います。

一生懸命準備した方ほど、その落胆は大きいものです。

ご本人だけでなく、ご家族もつらい思いをされることがあります。

しかし、不支給決定は、必ずしも「もう二度と受給できない」という意味ではありません。

大切なのは、なぜその結果になったのかを確認することです。

そして、再請求できる可能性があるのか、不服申立てを検討すべきなのか、今後どのように進めるべきなのかを整理することです。

もちろん、すべてのケースで受給につながる結果になるわけではありません。

それでも、一度不支給になったからといって、すぐにあきらめる必要はありません。

「自分の場合はどうなのだろう」

「もう一度請求できる可能性があるのか知りたい」

そのように感じている方は、一人で抱え込まなくても大丈夫です。

必要な方に必要な情報が、できるだけ早く届くように。

これからも、障害年金に関する情報を丁寧に発信していきたいと思います。

【こちらのページも参考に】https://syougainenkin.com/lp/01/

社会保険労務士/CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
石井 要美

2026/08/08

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