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障害年金社労士ブログ

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発達障害で働いていても障害年金2級に認定された事例|フルタイム就労中の請求ポイント

発達障害やうつ病で障害年金のご相談を受けていると、とてもよく聞く言葉があります。

「働いているので、障害年金は無理ですよね」
「正社員だから、対象にならないと思っていました」
「フルタイムで働いていると言ったら、不支給になりますよね」

たしかに、障害年金の審査では就労状況も重要な判断材料になります。

しかし、働いていることだけをもって、直ちに障害年金の対象外になるわけではありません。

特に発達障害の場合、外から見ると「普通に働けているように見える」ことがあります。正社員として勤務していたり、フルタイムで働いていたりすると、周囲からは「しっかり自立している」と見られることも少なくありません。

けれども実際には、職場の配慮があって何とか続けている、帰宅後は力尽きて家事や片付けがまったくできない、対人関係の負担からうつ状態が悪化しているという方も多くいらっしゃいます。

今回は、うつ病、注意欠陥多動性障害、自閉スペクトラム症により、フルタイムで就労していながら障害基礎年金2級が認定された事例をご紹介します。

また、この方は障害認定日にさかのぼって請求を行い、一時金としてまとまった年金を受け取ることができました。

「働いているから無理」と思い込んでいる方や、「自分の困りごとは性格の問題だ」と長年抱え込んできた方に、ぜひ知っていただきたい事例です。

【幼少期から見られていた発達特性】

ご相談者は30代の方です。

幼少期から、指先の不器用さがありました。小学生の頃は体育が苦手で、忘れ物や失くし物が多く、机の引き出しはいつも物であふれている状態でした。整理整頓が苦手で、持ち物の管理もうまくできませんでした。

また、落ち着きのなさも目立っていました。授業中に席を立ってしまうことがあり、担任の先生から頻繁に叱られていました。そのような様子から、クラスメイトにからかわれたり、いじめを受けたりすることもありました。

小学校は普通学級で過ごし、中学校も普通学級に進学しました。しかし、困りごとは変わりませんでした。

得意な科目については強い集中力を発揮し、良い成績を取ることができました。一方で、苦手な科目はまったく手がつかず、科目ごとの成績の差がとても大きい状態でした。

このように、発達障害のある方の中には、すべてができないわけではなく、「得意なことは非常によくできる一方で、苦手なことは極端に難しい」という方が少なくありません。

そのため、周囲からは「やればできるのに、なぜやらないのか」「努力が足りないのではないか」と誤解されてしまうことがあります。

けれども本人にとっては、努力していないのではなく、特性によってどうしても難しいことがあるのです。

【大学生活で表面化した日常生活の困難】

高校は普通校に進学しましたが、不注意や落ち着きのなさは続いていました。

その後、大学進学を機に一人暮らしを始めました。大学では好きな科目を履修できることもあり、学業成績は良好でした。20歳の時には難関資格にも合格されました。

一見すると、非常に優秀で、問題なく大学生活を送れているように見えたかもしれません。

しかし、実際の生活は大変なものでした。

大学のレポートは提出期限を守ることが難しく、教授から声をかけてもらって、何とか提出するような状況でした。大学内でのコミュニケーションもうまくいかず、友人を作ることもできませんでした。

また、朝起きることが苦手で、1限の授業に遅刻することが頻繁にありました。

一人暮らしの自宅は、片付け、ゴミ捨て、掃除ができず、いわゆるゴミ屋敷のような状態になっていました。

ここで大切なのは、「資格を取れるほど勉強ができること」と「日常生活を安定して送れること」は、必ずしも同じではないという点です。

発達障害のある方の中には、知的能力が高く、勉強や資格取得では力を発揮できる方もいます。しかし、日常生活となると、非常に大きな困難を抱えることがあります。

外から見える能力だけでは、その方の生活上のつらさはわかりません。

【うつ病の発症と中退、その後の就労】

大学在学中、睡眠時間を削って勉強を続けていたある日、抑うつ状態を発症しました。

精神科を受診したところ、うつ病と診断され、薬物治療を続けながら大学に通うことになりました。

しかし、その後うつ状態はさらに悪化し、大学は中退となりました。しばらく在宅療養をされた後、20歳の時に取得した資格を活かして就職されました。

ところが、就労先では大きな困難がありました。

職場でのコミュニケーションがうまく取れず、ケアレスミスも頻繁に起こりました。そのたびに上司から叱責を受け、次第に出社すること自体が怖くなっていきました。

結果として、わずか2か月で退職となりました。

その後は、アルバイトをしながら何とか生計を立てる日々が続きました。

この時点では、まだ発達障害の診断には至っていませんでした。本人も、自分の困りごとを「性格の問題」「努力不足」「自分が弱いから」と受け止めていたのかもしれません。

しかし、実際には幼少期から続く発達特性が、学校生活、大学生活、就労、日常生活のあらゆる場面に影響していました。

【30歳でようやく分かった本当の傷病】

アルバイトをしながら生活していた中、偶然ニュースで発達障害について知る機会がありました。

そこで紹介されていた特性が、自分にとてもよく当てはまっていると感じたそうです。

「もしかすると、自分の本当の困りごとは発達障害によるものではないか」

そう考え、専門医を受診されました。

検査の結果、注意欠陥多動性障害および自閉スペクトラム症と診断されました。その後、障害者手帳も取得されました。

30歳にして、ようやく本当の傷病を知ることになったのです。

発達障害は、子どもの頃から特性があっても、長く診断されないまま大人になる方がいます。特に、学業成績が良かったり、資格を取得していたりすると、周囲が困難に気づきにくいことがあります。

また、本人自身も「自分が悪い」「自分の努力が足りない」と思い込んでしまい、適切な医療や支援につながるまでに長い時間がかかることがあります。

この方も、長い間、理由の分からない生きづらさを抱えてこられました。

【障害者雇用で正社員として働いていても困難は続いていた】

診断後は、障害者雇用により就労を開始されました。

フルタイムで働いているという点だけを見ると、障害年金の対象にはならないように思われるかもしれません。

しかし、実際にはミスの頻発、コミュニケーションの苦手さ、日常生活の困難は続いていました。

また、自宅は片付けや掃除ができず、ゴミ屋敷のような状態が続いていました。仕事で力を使い果たしてしまい、帰宅後の生活を整える余力がほとんどなかったのです。

さらに、うつ病も併発しており、精神的にも不安定な状態が続いていました。

このような状況の中で、当職にご相談があり、障害年金の請求を進めることになりました。

障害年金では、就労しているかどうかだけではなく、どのような働き方なのか、仕事以外の日常生活がどの程度できているのか、支援がなければ生活が成り立つのかといった点が重要になります。

【フルタイム就労中でも2級に認定された理由】

今回の大きなポイントは、フルタイムで就労していても障害基礎年金2級に認定されたことです。

もちろん、働いている方が誰でも障害年金を受け取れるわけではありません。特に精神疾患や発達障害の場合、就労状況は審査において重視されます。

ただし、「働いている=障害年金はもらえない」と単純に決まるものではありません。

今回の事例では、正社員として就労している一方で、障害者雇用であり、職場の援助や配慮を受けながら何とか働いている状態でした。

また、自宅での生活は大きく乱れており、日常生活全般に支障がありました。うつ病も併発しており、精神状態も安定しているとはいえませんでした。

そのため、単に「フルタイムで働いている」という表面的な事実だけではなく、生活全体の困難さを丁寧に伝えることが重要でした。

【障害認定日にさかのぼって請求できたこと】

もう一つの大きなポイントは、障害認定日にさかのぼって請求できたことです。

障害年金には、「障害認定日」という考え方があります。原則として、初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となります。

この障害認定日時点で、障害年金の等級に該当する状態であったことが認められれば、その時点にさかのぼって請求できる場合があります。

今回の事例では、初診日から1年6か月を経過した時点、つまり約15年前の障害認定日にさかのぼって障害基礎年金を請求しました。

その結果、無事に認定を受けることができました。

ただし、障害年金はさかのぼって認められたとしても、すべての期間分を受け取れるとは限りません。時効により、一定期間を過ぎた分は受け取ることができなくなります。

本件でも、数百万円分の年金が時効によって消滅しました。

それでも、時効にかからない分として、およそ400万円の一時金を受け取ることができました。さらに、今後は年間約80万円の年金を継続して受給できることになりました。

この一時金と今後の年金は、ご本人にとって大きな生活の支えとなりました。

【もっと早く知っていれば、と思う方を減らしたい】

この事例で強く感じるのは、障害年金の制度をもっと早く知っていれば、ということです。

この方は、幼少期から多くの困難を抱えていました。学校生活でも、大学生活でも、就労でも、日常生活でも、ずっと生きづらさが続いていました。

しかし、発達障害という診断にたどり着くまでに長い時間がかかりました。

さらに、障害年金という制度にたどり着くまでにも時間がかかりました。

結果として、さかのぼって認定はされたものの、時効によって受け取れなくなった年金が数百万円分ありました。

もちろん、過ぎてしまった時間を取り戻すことはできません。

けれども、今このブログを読んでいる方が、「働いているから無理」と決めつけず、早めに相談してくだされば、守れる生活があります。

発達障害の方は、努力していないわけではありません。むしろ、人一倍努力しているのに、周囲から理解されず、何度も傷ついてきた方が多いと感じます。

その努力を、制度の支えにつなげることも大切です。

障害年金は、働くことを否定する制度ではありません。働きながらも、病気や障害によって生活に大きな支障がある方を支える制度です。

【働いている方こそ、生活全体を見直してみてください】

発達障害やうつ病がありながら働いている方は、「働けているのだから大丈夫」と周囲から見られがちです。

しかし、ご本人の生活全体を見ると、仕事を続けるためにすべての力を使い果たしていることがあります。

大切なのは、「働いているか、働いていないか」だけで判断しないことです。

今回の事例が、発達障害やうつ病で悩みながらも、「自分は働いているから障害年金は関係ない」と思い込んでいる方の参考になれば幸いです。

また、正確な診断がされないまま、適切な医療や支援につながれていない方にとっても、「もしかしたら自分の困りごとには理由があるのかもしれない」と考えるきっかけになればと思います。

【こちらのページもご参考まで】https://syougainenkin.com/lp/01/

社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
石井 要美

2026/05/29

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