blog

障害年金社労士ブログ

リング
リング
リング
リング
リング
リング

就労している軽度知的障害の障害年金|1回目の更新で永久認定となった事例

【就労している軽度知的障害の障害年金】

就労している軽度知的障害の方でも、障害年金の対象になることがあります。

また、障害年金を受給している方が働いている場合でも、更新で必ず支給停止になるわけではありません。

障害年金では、「働いているかどうか」だけで判断されるのではなく、日常生活にどのような支援が必要なのか、就労がどのような環境や配慮のもとで成り立っているのかを総合的に確認します。

今回ご紹介するのは、3年前に初回の障害年金請求をご依頼いただいた、軽度知的障害のある方の事例です。

初回のご相談時には、医療機関につながっておらず、障害年金の手続きができないまま20代半ばになっていました。

そこから医療機関を探すところからサポートし、初回請求で障害基礎年金の受給決定につながりました。

そして3年後、1回目の更新を迎えました。

転職した職場での就労は継続していましたが、更新では就労先への照会も含めて慎重に確認を進めました。

その結果、障害基礎年金は永久認定となりました。

今回は、この事例を通して、就労している軽度知的障害の方の障害年金更新で大切な視点をお伝えします。

 

【初回請求時は医療機関につながっていませんでした】

この方から初めてご依頼を受けたのは、3年前のことでした。

ご相談をいただいた時点で、ご本人は20代半ばになっていました。

しかし、それまで障害年金の手続きは進んでいませんでした。

大きな理由の一つは、医療機関につながっていなかったことです。

軽度知的障害のある方の中には、子どもの頃から学校や家庭の中で困りごとがあっても、成人後に継続的な医療機関の受診がない方がいらっしゃいます。

療育手帳を持っていても、定期的な受診先がない場合もあります。

障害年金を請求するためには、原則として診断書が必要です。

そのため、医療機関につながっていない場合には、まず診断書を作成していただける医療機関を探すところから始める必要があります。

これは、ご本人やご家族だけで進めるには大きな負担です。

どこに相談すればよいのか。

どの医療機関を受診すればよいのか。

これまでの経過をどのように伝えればよいのか。

そのようなところから、一つずつ整理していきました。

 

【軽度知的障害で医療機関につながっていない場合はどうする?】

軽度知的障害で医療機関につながっていない場合でも、すぐに障害年金をあきらめる必要はありません。

まずは、これまでの成育歴、学校生活、療育手帳の有無、就労状況、日常生活の困りごとを整理することが大切です。

知的障害の場合、現在の状態だけでなく、幼少期からの経過も重要になります。

今回も、ご本人だけでなく、ご家族からもこれまでの経過を伺いました。

ご本人が自分の困りごとを言葉にすることが難しい場合には、ご家族から見た生活状況も大切な情報になります。

 

【転職直後で就労継続への不安もありました】

初回請求の頃、ご本人は転職したばかりでした。

新しい職場で働き始めたものの、この先も続けていけるのか、ご本人もご家族も不安を感じていらっしゃいました。

軽度知的障害の場合、一見すると働けているように見えることがあります。

しかし、周囲の支援や職場の理解、ご本人の大きな努力によって、何とか就労が成り立っている場合があります。

指示を一度で理解することが難しい。

臨機応変な対応が苦手。

困ったときに自分から相談できない。

このような困りごとは、外からは見えにくいものです。

働いているからといって、日常生活上の困難がないとは限りません。

初回請求時にも、就労している事実だけで判断するのではなく、生活面ではどのような困りごとがあるのかを丁寧に整理しました。

その結果、障害基礎年金の受給決定につながりました。

 

【1回目の更新では何を確認する?】

初回請求から3年が経ち、今回、1回目の更新を迎えました。

障害年金の更新では、現在の障害状態や日常生活の状況を改めて確認します。

今回、まず確認したのは、この3年間の生活状況と就労状況です。

初回請求時に転職した職場で、現在も就労を継続されていました。

これは、ご本人にとってもご家族にとっても、大きな努力の積み重ねだったと思います。

一方で、更新では「働いている」という事実だけが一人歩きしないように注意が必要です。

どのような業務をしているのか。

勤務時間や日数はどの程度か。

職場でどのような配慮を受けているのか。

仕事以外の日常生活はどのような状態なのか。

これらを丁寧に確認しながら、更新手続きを進めました。

 

【働いていると障害年金の更新で止まる?】

障害年金の更新でよくある不安が、「働いていると年金が止まるのではないか」というものです。

この不安は、とてもよくわかります。

障害年金は生活の大切な土台です。

そのため、就労していることが年金にどう影響するのか心配になるのは自然なことです。

しかし、障害年金は、働いているかどうかだけで判断されるものではありません。

特に知的障害の場合、就労していても、日常生活や社会生活に継続的な支援が必要なことがあります。

職場では何とか働けていても、家庭では家族の支援が欠かせない。

仕事の手順は覚えられても、予定変更や急な対応が難しい。

このような状態であれば、就労の事実だけで障害状態を軽く見ることはできません。

大切なのは、働いているかどうかではなく、どのような支援のもとで生活と就労が成り立っているのかを丁寧に伝えることです。

 

【就労先への照会も含めて慎重に進めました】

今回の更新では、就労が継続していたため、就労先への照会も行いながら慎重に進めました。

障害年金の手続きでは、ご本人やご家族から伺う内容だけでなく、必要に応じて、実際の就労状況を客観的に確認することも大切です。

職場から得た情報は、診断書や申立書の内容を整理するうえでも重要になります。

もちろん、職場に照会する際には、ご本人やご家族の同意を得ることが大前提です。

障害や年金に関する情報は、とても大切な個人情報です。

今回も、ご本人とご家族の気持ちに配慮しながら、必要な情報を慎重に確認しました。

 

【結果、障害基礎年金は永久認定へ】

更新手続きでは、医療機関への情報共有、診断書の内容確認、日常生活状況の整理、就労状況の確認を丁寧に進めました。

その結果、障害基礎年金は永久認定となりました。

永久認定とは、今後、原則として定期的な診断書提出による更新が不要となる認定です。

ただし、永久認定になるかどうかは、診断名だけで決まるものではありません。

また、「この条件を満たせば必ず永久認定になる」という明確な基準を、ご本人やご家族が事前に判断できるものでもありません。

障害の性質、これまでの経過、日常生活の状況、就労状況、支援の必要性、などをもとに、日本年金機構側で個別に判断されます。

そのため、同じ軽度知的障害という診断名であっても、すべての方が同じ結果になるわけではありません。

今回の事例では、20代半ばまで手続きが進まなかった状態から、医療機関につながり、初回請求で受給につながりました。

そして、その後の3年間の生活状況や就労状況を丁寧に整理し、1回目の更新を迎えた結果、永久認定となりました。

ご本人とご家族が、これまで積み重ねてこられた日々が、一つの形になったように感じました。

更新のたびに「次も年金は続くのだろうか」と不安を抱えていたご本人やご家族にとって、大きな安心につながる結果だったと思います。

 

【就労している軽度知的障害で確認しておきたい視点】

就労している軽度知的障害の方が障害年金の更新を迎えるときには、「働いている」という事実だけで判断しないことが大切です。

障害年金では、診断名だけでなく、生活全体の状態を見て判断されます。

ただし、ここでお伝えする内容は、永久認定になるための条件ではありません。

更新手続きの際に、現在の状態を正確に伝えるために整理しておきたい視点です。

日常生活の実態は、診察室の短い時間だけでは伝わりにくいことがあります。

特に知的障害の場合、ご本人が自分の困りごとをうまく説明できないことがあります。

また、ご家族にとっても、長年支援していることが日常になっていて、「支援している」という自覚が薄くなっている場合があります。

そのため、更新の前には、この数年間の生活を一度振り返ることが大切です。

できるようになったこと。

今も支援が必要なこと。

職場で配慮を受けていること。

こうした点を整理することで、現在の状態を医師に伝えやすくなります。

結果として、診断書にも生活実態が反映されやすくなります。

ただし、最終的にどのような認定になるかは個別の審査によります。

そのため、「働いているから更新されない」「軽度だから永久認定にならない」「この内容を伝えれば必ず永久認定になる」といった形で決めつけないことが大切です。

 

【障害年金の更新はいつから準備する?】

障害年金の更新は、診断書が届いてから慌てて準備するよりも、早めに生活状況を整理しておくことが大切です。

有期認定の場合、一定期間ごとに障害状態確認届という診断書を提出します。

更新では、現在の障害状態や生活状況、就労状況を改めて確認します。

初回請求時と比べて、生活環境が変わっていることもあります。

就職した方もいます。

転職した方もいます。

生活環境が変わった方もいます。

そのため、更新は単に診断書を提出するだけの手続きではありません。

特に就労している場合には、働いている事実だけでなく、働き続けるためにどのような支援が必要なのかを整理しておくことが重要です。

 

【働いているから無理、と決めつけないでください】

「軽度知的障害で働いている」と聞くと、障害年金の対象になるのか不安に感じる方もいます。

軽度だから無理なのではないか。

働いているから無理なのではないか。

医療機関に通っていないから手続きできないのではないか。

そのように思い、相談する前にあきらめてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、今回のように、医療機関につながっていない状態から初回請求を進め、受給につながり、さらに更新で永久認定となるケースもあります。

もちろん、すべての方が同じ結果になるわけではありません。

それでも、最初から無理だと決めつける必要はありません。

まずは、これまでの生活、学校、就労、家族の支援、医療機関とのつながりを整理することから始めてみてください。

障害年金は、受給決定がゴールではありません。

受給後も生活は続きます。

更新、就職、転職、家族の変化、将来への不安。

その時々で、考えるべきことがあります。

軽度知的障害だから無理。

働いているから無理。

医療機関に通っていないから無理。

そう決めつける前に、一度ご相談くださいね。

【こちらのページも参考に】https://syougainenkin.com/lp/01/

社会保険労務士/CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
石井 要美

2026/09/04

  • 障害年金社労士ブログ
PAGETOP