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障害年金社労士ブログ

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若年性認知症で障害年金1級が決定した事例|家族が気づきたい請求のポイント

障害年金のご相談を受けていると、「もっと早く相談していればよかった」とお話しされるご家族に出会うことがあります。

特に、若年性認知症の場合、最初から「認知症かもしれない」と気づくことは簡単ではありません。

物忘れが増えても、「年齢のせいかな」「疲れているのかな」と思うことがあります。眠れない日が続いたり、気分が落ち込んだりすると、「うつ病かもしれない」と考えて心療内科を受診されることもあります。

また、認知症と診断されたとしても、ご本人がすぐにその事実を受け入れられるとは限りません。

これまで仕事を頑張ってきた方ほど、「なぜ自分が」「まだ働けるはずだ」と感じることもあります。診断そのものが大きなショックとなり、受診を中断してしまうこともあります。

今回は、若年性認知症を患う63歳の男性について、ご家族からのご相談をきっかけに障害年金の手続きを行い、障害等級1級として認定された事例をご紹介します。

【発病は50代半ば、最初は物忘れからでした】

ご相談の対象となったのは、63歳の男性です。

発病は50代半ばのころでした。当時は、精力的に仕事に励んでおられ、責任ある立場で日々忙しく過ごされていました。

このころから、少しずつ物忘れが目立つようになりました。

ただ、最初のうちはご本人もご家族も、「年齢的なものかもしれない」「仕事が忙しくて疲れているのかもしれない」と受け止めていました。

認知症という言葉は、どうしても高齢の方の病気というイメージを持たれがちです。そのため、50代で物忘れが増えても、すぐに若年性認知症を疑うことは少ないかもしれません。

しかし、物忘れは少しずつ悪化していきました。

さらに、不眠傾向も続くようになり、仕事にも支障が出始めました。ご本人も周囲も、単なる疲れや加齢だけでは説明がつかないと感じるようになり、うつ病を疑って心療内科を受診されました。

【すぐに認知症とは診断されませんでした】

心療内科を受診した時点では、すぐに認知症と診断されたわけではありませんでした。

不眠が強かったため、眠剤を服用しながらしばらく様子を見ることになりました。

若年性認知症の場合、初期にはうつ病や不眠、疲労、ストレスによる不調のように見えることがあります。集中力が続かない、仕事の段取りが悪くなる、約束を忘れる、同じことを何度も確認するなどの変化があっても、精神的な不調として受け止められることもあります。

もちろん、うつ病や不眠症そのものが原因である場合もあります。

ただ、治療を続けても改善が見られない場合や、物忘れ・判断力の低下・日常生活上の混乱が徐々に目立つ場合には、専門医による検査が必要になることがあります。

この男性も、眠剤を服用しながら様子を見ていましたが、症状は改善しませんでした。

そのため、専門医を受診し、各種検査を受けた結果、アルツハイマー型認知症と診断されました。

【診断を受け入れられず、専門医の受診を中断】

診断を受けたあと、医師からは仕事を辞めた方がよいと説明されました。

ご本人にとって、それは大きなショックでした。

50代半ばまで仕事に打ち込み、社会の中で役割を果たしてきた方にとって、「働き続けることが難しい」と言われることは、単に収入の問題だけではありません。

自分の存在価値や、これまで積み重ねてきた人生そのものを否定されたように感じてしまうこともあります。

この男性も、強いショックと怒りから、専門医の受診をやめてしまいました。

ご家族にとっても、非常につらい時期だったと思います。

病気であることを理解してほしい。治療につながってほしい。けれど、ご本人の気持ちを考えると、強く言うことも難しい。

若年性認知症の支援では、この「受け入れの難しさ」が大きな壁になることがあります。

【症状は進行し、早期退職へ】

専門医の受診を中断したあとも、心療内科で眠剤の処方を受けながら様子を見る時期がありました。

しかし、症状は改善しませんでした。

その後、再び専門医による治療を受けることになりましたが、認知症の症状は徐々に進行していきました。

仕事を続けることも難しくなり、最終的には労務不能として早期退職に至りました。

働けなくなるということは、生活の基盤が大きく変わるということです。

収入の不安だけでなく、日中の過ごし方、家族の介護負担、医療とのつながり、今後の生活設計など、考えなければならないことが一気に増えていきます。

このケースでは、日常生活においてもご家族による介助が必要となり、そのような中で、ご家族から当職に障害年金請求のご相談がありました。

【障害年金1級として認定】

ご相談を受けたあと、これまでの受診歴、症状の経過、日常生活の状況、仕事を続けることが難しくなった経緯などを丁寧に確認していきました。

障害年金の請求では、診断名だけで判断されるわけではありません。

同じ認知症という診断名であっても、日常生活でどの程度の支援が必要なのか、身の回りのことをどこまで一人でできるのか、金銭管理や服薬管理、外出、対人関係、危険回避などにどのような困難があるのかが重要になります。

特に、障害等級1級は、障害の程度が非常に重い状態です。

精神の障害や認知症の場合には、日常生活の多くの場面で常時援助が必要であるかどうかが大きなポイントになります。

この男性は、ご家族による介助が必要で、明らかに2級以上には該当している状況でした。病気の進行により、労務不能となり、日常生活にも大きな制限が生じていました。

実際の生活状況がきちんと伝わるようにするため、診断書に加え、別途医師の意見書も取得することにしました。その結果、障害等級1級として認定を受けることができました。

【障害等級1級の年金額】

障害年金の金額は、障害等級によって異なります。

1級の金額は2級の25%増しです。

令和8年度の障害基礎年金の金額は、昭和31年4月2日以後生まれの方の場合、次のとおりです。

障害基礎年金1級:年額1,059,125円
障害基礎年金2級:年額847,300円

月額にすると、障害基礎年金1級はおおよそ88,260円、2級はおおよそ70,608円となります。

なお、障害厚生年金に該当する方の場合は、これに加えて、厚生年金加入中の給与や加入期間に応じた報酬比例部分が計算されます。

つまり、初診日に厚生年金に加入していた方が1級に認定された場合には、障害基礎年金1級に加えて、障害厚生年金も1級として計算された金額を受給することができます。

そのため、実際の受給額は、その方の加入状況や家族構成によって異なります。

障害年金は、病気や障害によって働くことが難しくなった方とご家族の生活を支える大切な制度です。特に1級に認定されるような状態では、ご本人だけで生活を整えることが難しく、ご家族の介護や見守りの負担も大きくなります。

年金額は単なる数字ではなく、これからの生活を考えるうえでの大切な土台になります。

【若年性認知症は、気づきにくく、受け入れにくい病気です】

本件のように、若年性認知症は、最初から認知症として受診につながるとは限りません。

物忘れ、不眠、気分の落ち込み、仕事上のミス、段取りの悪さなどから始まり、うつ病やストレスによる不調と思われることもあります。

また、診断されたとしても、ご本人がすぐに受け入れられるとは限りません。

特に、長年仕事をしてきた方にとって、認知症という診断や退職の勧めは、人生を大きく揺るがす出来事です。

ご家族から見ると、「なぜ治療を受けてくれないのか」「なぜ現実を見てくれないのか」と感じることもあるかもしれません。

しかし、ご本人の中では、恐怖、怒り、悲しみ、悔しさ、不安が複雑に入り混じっていることがあります。

だからこそ、医療につながること、福祉につながること、そして障害年金などの制度につながることを、ひとつずつ進めていくことが大切です。

【ご家族だけで抱え込まないでください】

若年性認知症は、ご本人だけでなく、ご家族の生活にも大きな影響を与えます。

介護のこと、仕事を辞めた後の収入のこと、医療費のこと、今後の住まいや生活のこと。

考えなければならないことが多く、ご家族が疲れ切ってしまうこともあります。

障害年金は、そのようなときに生活を支える制度のひとつです。

もちろん、障害年金だけですべての問題が解決するわけではありません。

しかし、定期的な収入の見通しが立つことで、ご家族の不安が少し軽くなることがあります。介護サービスや医療とのつながりを考えるうえでも、経済的な土台があることは大切です。

「まだ相談するには早いのではないか」
「認知症でも障害年金の対象になるのか」
「働いていた時期があるけれど請求できるのか」
「初診日がどこになるのかわからない」

このような不安がある場合でも、まずは状況を整理することから始めることができます。

若年性認知症は、発症してから診断に至るまでに時間がかかることがあります。

また、診断されたあとも、ご本人やご家族がその事実を受け止め、生活を立て直していくまでには、長い時間と大きなエネルギーが必要です。

今回の事例では、50代半ばで物忘れや不眠が始まり、うつ病を疑って心療内科を受診し、その後、専門医の検査でアルツハイマー型認知症と診断されました。

診断を受け入れられず、専門医の受診を中断した時期もありましたが、症状は進行し、最終的には労務不能として早期退職に至りました。

ご家族による介助を受ける生活の中で障害年金を請求し、障害等級1級の認定を受けることができました。

障害年金の請求では、診断名だけではなく、これまでの経過や現在の日常生活の困難さを正しく伝えることが重要です。

ご本人がうまく説明できない場合でも、ご家族だからこそわかる生活上の変化があります。

その小さな気づきが、障害年金の請求において大切な情報になることがあります。

若年性認知症と診断された方、または物忘れや不眠、仕事上のミスが続き、今後の生活に不安を感じているご家族は、どうか一人で抱え込まないでください。

制度につながることで、これからの生活を少しずつ整えていくことができます。

【こちらもご参考に】https://syougainenkin.com/lp/01/

社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

石井 要美

2026/05/22

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