





発達障害の診断だけでも障害年金はもらえる?二次障害がなくても請求できる可能性
【発達障害の診断だけでも年金はもらえる?二次障害がなくても請求できる可能性】
「発達障害だけでは、障害年金はもらえないですよね?」
障害年金のご相談を受けていると、このようなお話から始まることがあります。
発達障害のある方やご家族の中には、「うつ病などの二次障害を併発していなければ、障害年金は請求できない」と思い込んでいる方が少なくありません。
インターネット等で調べているうちに、誤った情報や一部だけを切り取った情報に触れてしまい、「自分は対象外なのだ」とあきらめてしまっている方もいらっしゃいます。
しかし、結論からお伝えすると、ADHD、自閉スペクトラム症、広汎性発達障害、学習障害などの「発達障害」で障害年金を請求することは可能です。
もちろん、診断名があるだけで必ず認定されるわけではありません。
大切なのは、発達障害の特性によって、日常生活や就労にどの程度の困難が生じているかという点です。
今回は、「発達障害の診断のみでも障害年金はもらえるのか」というテーマで、誤解されやすいポイントと、請求時に大切になる視点についてお伝えします。
【発達障害だけでは障害年金は無理という誤解】
発達障害の方からのご相談で多いのが、「うつ病も診断されていないと障害年金は無理ですよね」というものです。
たしかに、発達障害のある方の中には、長年の生きづらさ、学校や職場での失敗体験、人間関係のつまずきなどから、二次障害としてうつ病や不安症状を併発する方がいらっしゃいます。
そのため、障害年金の事例を調べると、「発達障害とうつ病」「ADHDとうつ病」「自閉スペクトラム症とうつ病」など、複数の診断名が出てくることがあります。
それを見て、「うつ病がないと障害年金は請求できないのだ」と思ってしまう方がいます。
しかし、これは正確ではありません。
発達障害そのものによる生活上の困難や就労上の困難が大きい場合には、発達障害の診断で障害年金を請求することが可能です。
大切なのは、二次障害があるかどうかだけではなく、発達障害の特性によって、実際の生活や仕事にどのような支障が出ているのかを丁寧に整理することです。
【発達障害と一口に言っても特性はさまざまです】
発達障害と一口に言っても、その状態は一人ひとり異なります。
ADHDの方であれば、不注意、忘れ物、時間管理の難しさ、衝動性、段取りの苦手さなどが目立つことがあります。
自閉スペクトラム症の方であれば、対人関係の難しさ、こだわりの強さ、急な予定変更への弱さ、感覚過敏、暗黙のルールを理解しにくいことなどが、生活や仕事に影響することがあります。
学習障害の方であれば、読む、書く、計算するなど、特定の分野に大きな困難がある場合があります。
同じ診断名であっても、困りごとの現れ方は人によって違います。
また、知的な遅れがある方もいれば、学校の成績は良かったものの、社会に出てから困難が大きく表面化する方もいます。
「学生時代は何とかやってこられた」
「就職してから急にうまくいかなくなった」
「人間関係や仕事の段取りでつまずき続けている」
このような方も少なくありません。
障害年金の請求では、診断名だけを見るのではなく、その方の発達特性が、生活や就労にどのような影響を与えているのかを確認することが重要です。
【診断名だけではなく生活状況が重要です】
障害年金は、病名だけで決まる制度ではありません。
これは発達障害の場合も同じです。
ADHDと診断されているから、自閉スペクトラム症と診断されているから、必ず障害年金が認められるというものではありません。
重要なのは、日常生活や就労にどの程度の制限があるかです。
具体的な生活状況や就労状況が、とても大切になります。
発達障害の方は、外見から困りごとが伝わりにくいことがあります。
また、ご本人も長年「自分が悪い」「努力不足だ」と思い込んできたため、自分の困難をうまく説明できない場合があります。
だからこそ、障害年金の請求では、生活の中で実際に何が起きているのかを丁寧に言葉にしていくことが必要です。
【出生から現在までの経過を整理することが大切です】
発達障害の障害年金請求では、現在の状態だけでなく、出生から現在に至るまでの経過を丁寧に整理することも重要です。
幼少期からの特性、学校生活での困りごと、友人関係のつまずき、忘れ物や提出物の遅れ、集団行動の苦手さ、感覚過敏など、振り返ってみると、発達特性がさまざまな場面に表れていることがあります。
進学や就職後にどのような困難があったのか。
仕事が続かなかった理由。
家族や周囲からどのような支援を受けてきたのか。
こうした経過は、発達障害による困難が一時的なものではなく、長期にわたって生活全体に影響してきたことを伝えるうえで大切です。
特に、大人になってから発達障害と診断された方の場合、ご本人やご家族が「昔からそうだった」と感じていても、書類上はそれが十分に整理されていないことがあります。
障害年金では、病歴・就労状況等申立書という書類で、これまでの経過を説明します。
この書類は、単なる年表ではありません。
発達特性が、人生の各場面でどのように影響してきたのかを伝える大切な書類です。
【二次障害がなくても受給に至ったケースはあります】
発達障害による困難さのために、二次障害としてうつ病などを併発する方は確かにいらっしゃいます。
しかし、二次障害がないからといって、障害年金の可能性がなくなるわけではありません。
実際に、うつ病などの診断がなくても、発達障害の特性による日常生活や就労の困難さを詳細に確認し、受給に至ったケースはあります。
たとえば、職場で指示の意図を読み取れず、何度もトラブルになってしまう。
ミスが多く、注意を受けると混乱してしまう。
予定変更に対応できず、仕事を続けられない。
対人関係の負担が大きく、短期間で退職を繰り返している。
このような困難がある場合には、発達障害による生活や就労への影響として整理することができます。
「うつ病がないから無理」と決めつけるのではなく、まずは現在の生活状況、就労状況、これまでの経過を確認することが大切です。
【不安障害と診断されていた時期がある場合】
発達障害の方の中には、最初から発達障害と診断されていたわけではない方もいます。
子どもの頃から生きづらさはあったものの、大人になってから初めて検査を受け、ADHDや自閉スペクトラム症と診断されることがあります。
また、障害認定日の頃には不安障害と診断されていたものの、その後の詳しい検査によって、背景に発達障害があることがわかったケースもあります。
不安障害としてだけでは、原則として障害年金の対象外となります。
そのため、障害認定日の診断名が不安障害であったことを理由に、遡及請求は無理だと思ってしまう方もいます。
しかし、障害認定日の頃は不安障害と診断されていたものの、その後、発達障害と診断され、当時の障害状態、生活状況、就労状況を丁寧に精査した結果、遡及請求が認められたケースもあります。
大切なのは、診断名だけで判断しないということです。
【働いている場合でも可能性があります】
発達障害の方の中には、何とか働いている方もいらっしゃいます。
そのため、「働いているから障害年金は無理」と思われることがあります。
しかし、働いていることだけで、直ちに障害年金の対象外になるわけではありません。
大切なのは、どのような働き方をしているのかです。
短時間勤務なのか。
職場で配慮を受けているのか。
欠勤や遅刻、早退が多くないか。
人間関係のトラブルが頻繁に起きていないか。
収入が安定しているのか。
仕事を続けるために、家族や支援者がどの程度サポートしているのか。
このような点を確認する必要があります。
発達障害の方は、表面上は働いているように見えても、安定して継続できているか、日常生活がどの程度保たれているかを見ることが大切です。
【発達障害だけでは無理とあきらめないでください】
「発達障害だけでは障害年金はもらえない」
「うつ病を併発していないと請求できない」
「大人になってから診断されたから無理」
「働いたことがあるから対象外」
このような思い込みから、障害年金の請求をあきらめてしまっている方がいらっしゃいます。
しかし、発達障害のみで障害年金を請求することは可能です。
二次障害がなくても、日常生活や就労に大きな困難がある場合には、受給につながる可能性があります。
また、過去に別の診断名がついていた場合でも、その後の検査や診療経過によって発達障害が明らかになり、遡及請求が認められたケースもあります。
大切なのは、診断名だけで判断しないことです。
そして、発達障害の特性が、これまでの生活や仕事にどのような影響を与えてきたのかを丁寧に確認することです。
発達障害のある方は、長い間「自分の努力不足だ」「自分が悪い」と思いながら、何とか生活してきた方も少なくありません。
しかし、困難さには理由がある場合があります。
そして、生活や仕事に大きな制限がある場合には、障害年金という制度が支えになる可能性があります。
発達障害だけでは無理だと決めつけず、一度ご自身の状態を整理してみてください。
【こちらのページもご参考まで】https://syougainenkin.com/lp/01/
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
石井 要美
2026/06/12
- 障害年金社労士ブログ

