





障害年金が不支給になったらどうする?審査請求と再請求の考え方を社労士が解説
本日は、障害年金の不支給決定を受けたらどうするかというテーマでお話ししたいと思います。
直近1年間で、とても多くいただくご相談があります。
それは、
「障害年金の手続きをしたけれどダメでした。今後もらうことはできないのでしょうか?」
というご相談です。
障害年金の請求は、ご本人やご家族にとって、とても大きな手続きです。
体調が悪い中で書類を集めたり、病院に診断書をお願いしたり、これまでの病歴を思い出しながら申立書を書いたりすることは、決して簡単なことではありません。
それだけの思いで請求したにもかかわらず、「認められませんでした」という結果が届くと、大きく落ち込んでしまう方も多いと思います。
「もう二度ともらえないのではないか」
「自分の状態は障害年金の対象ではないと言われたのだろうか」
「何をどうしたらよいのかわからない」
そのように感じてしまうのも、とても自然なことです。
ただ、ここでまずお伝えしたいのは、一度ダメだったからといって、生涯にわたって障害年金を受けられないと決まったわけではないということです。
まずは、届いた結果がどのような内容なのかを、落ち着いて整理することが大切です。
【「ダメだった」には、却下と不支給があります】
一口に「障害年金がダメだった」といっても、実は大きく分けて2つのパターンがあります。
ひとつは、却下です。
もうひとつは、不支給です。
この2つは、同じように見えて、意味が異なります。
障害年金を受けるためには、3つの要件があります。
初診日を証明できること。
保険料の納付要件を満たしていること。
障害状態が障害認定基準に該当していること。
この3つを全て満たしているかどうかが、障害年金では非常に重要になります。
たとえば、初診日が証明できなかった場合や、国民年金保険料の納付要件を満たしていなかった場合には、請求が認められないことがあります。
このような場合は、いわゆる却下となることがあります。
一方で、初診日や保険料納付要件は問題なかったものの、提出された診断書などから見て、障害状態が障害認定基準に該当しないと判断された場合には、不支給となります。
今回の記事では、このうち、障害状態が当てはまらなかったことによって不支給決定を受けた場合について、どのように考えればよいのかをお伝えします。
【不支給決定を受けた場合の対応は、大きく2つあります】
障害状態が認められず、不支給決定を受けた場合、対応方法は大きく2つあります。
1つ目は、審査請求をすることです。
これは、不服申し立てを行い、決定を覆すことを目指す方法です。
2つ目は、再度請求することです。
これは、改めて障害年金を請求し直す方法です。
どちらを選ぶべきかは、その方の状況によって異なります。
不支給決定を受けたからといって、すぐに審査請求をすればよいというものでもありません。
反対に、審査請求をせずに再請求をした方がよいケースもあります。
大切なのは、なぜ不支給になったのかを見極めることです。
ここを確認しないまま動いてしまうと、せっかく時間と労力をかけても、思うような結果につながらないことがあります。
【審査請求とは何か】
審査請求とは、簡単にいうと、決定に対する不服申し立てです。
「今回の不支給決定は納得できません」
「提出した内容から見れば、障害年金に該当するはずです」
という形で、最初の決定を見直してもらう手続きです。
制度としては、不服申し立ては2回まで行うことができます。
最初が審査請求、次が再審査請求です。
ただし、ここでとても大切なことがあります。
審査請求は、基本的に最初に提出した障害年金請求書類に対する決定が妥当だったのかどうかを争うものです。
つまり、最初に提出した診断書や申立書の内容が、どう見ても不支給相当である場合には、審査請求で結果を覆すことはかなり難しくなります。
たとえば、実際には日常生活に大きな支障があったとしても、診断書には反映されていなかった。
ご本人の困りごとが、病歴・就労状況等申立書に十分書かれていなかった。
このような場合、審査請求で「本当はもっと重い状態です」と主張しても、最初に提出した書類の内容自体が軽く見えるものであれば、結果を変えるのは簡単ではありません。
そのため、審査請求をするかどうかは、慎重に判断する必要があります。
【重要なのは、障害状態の実態が書類に反映されていたかどうかです】
不支給決定を受けたときに、まず確認したいのは、提出した書類が本当の状態をきちんと反映していたかどうかです。
ここがとても重要です。
障害年金の審査は、基本的に書類で行われます。
審査する側は、ご本人の日常生活を直接見るわけではありません。
そのため、診断書や申立書の中に生活の困難さが十分に表れていなければ、実際には重い症状があったとしても、それが審査に伝わらないことがあります。
障害年金では、実際の状態そのものも大切ですが、それと同じくらい、その状態が書類に正しく反映されているかが大切です。
【再度請求することで認定される場合もあります】
もし、本当は障害状態に該当する可能性があるにもかかわらず、その内容を反映した書類になっていなかったのであれば、再度請求することで障害年金が認定される場合もあります。
実際に、最初は不支給だったものの、改めて生活状況や就労状況を整理し、必要な書類を整えたうえで再請求した結果、認定に繋がったケースは多数あります。
もちろん、再請求すれば必ず認定されるという意味ではありません。
ただ、最初の請求でうまく伝わっていなかった部分がある場合には、改めて整理することで結果が変わることはあります。
ご本人としても、「これくらいは普通なのではないか」「家族に助けてもらっているから何とかなっているだけ」と思っていて、困りごとを十分に言葉にできていないことがあります。
しかし、障害年金の請求では、そのような日常の困りごとこそ、とても重要な情報になります。
【障害認定日請求で不支給だった場合の注意点】
ここで、ひとつ注意しておきたいことがあります。
障害認定日請求で不支給決定を受けていた場合、同一傷病・同一初診日で再度請求すると、基本的には事後重症請求となります。
障害認定日請求とは、初診日から原則1年6か月を経過した障害認定日時点の状態で請求するものです。
一方、事後重症請求とは、障害認定日時点では該当しなかった、または請求が認められなかった場合でも、その後状態が悪化し、現在の状態で障害年金を請求するものです。
つまり、障害認定日請求で一度不支給となった場合、同じ初診日で再請求すると、過去にさかのぼって認定されるのではなく、原則として現在の状態をもとに請求することになります。
この点は、よく勘違いがおこるポイントとなります。
「もう一度出せば、最初の請求時点に戻って認められるのでは」と思われる方もいらっしゃいますが、そうではありません。
だからこそ、不支給決定を受けた後は、審査請求をするのか、再請求をするのか、慎重に整理する必要があります。
【一度ダメだったからといって、生涯もらえないわけではありません】
不支給決定を受けると、大きなショックを受けると思います。
「やっぱり自分は対象ではなかったのだ」
「もう何をしても無理なのではないか」
「また書類を集める気力がない」
そのように感じる方も多いです。
ただ、繰り返しになりますが、一度ダメだったからといって、生涯にわたって障害年金を受けられないと決まったわけではありません。
その後に状態が悪化することもあります。
生活状況が変わることもあります。
就労が難しくなることもあります。
前回の請求では伝わっていなかった実態を、改めて整理できることもあります。
大切なのは、結果だけを見てあきらめてしまうことではなく、なぜその結果になったのかを確認することです。
そして、今後どのような選択肢があるのかを考えることです。
【気になる方は、お早めに】
障害年金の不支給決定を受けた後は、時間的な制限が関係する手続きもあります。
審査請求を検討する場合には、期限があります。
再請求を考える場合にも、現在の状態をどう整理するかが大切になります。
そのため、不支給決定の通知が届いたら、そのまま一人で抱え込まないでください。
「一度ダメだったので、相談しても意味がないのでは」と思われる方もいらっしゃいます。
けれど、実際には、不支給になった後だからこそ、専門的に確認する意味が大きいケースもあります。
提出した書類の内容。
診断書に書かれていた日常生活能力。
病歴・就労状況等申立書の内容。
請求した時点の障害状態。
現在の症状や生活状況。
こうしたものを丁寧に見ていくことで、次に取るべき方向性が見えてくることがあります。
障害年金は、制度を知っているだけではなく、個別の事情をどう整理するかがとても大切です。
不支給決定を受けたとしても、そこで終わりとは限りません。
今後の可能性を一緒に整理しながら、必要な支援につながっていただけたらと思います。
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
石井 要美
2026/05/11
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